「明治強いわ……」
この記事を書いている日付は、今日行われた早明戦2019年12月1日(日)の深夜。
25年ぶりの全勝戦ということで試合前から盛り上がりを見せた早明戦も、
明治が早稲田を事前の「接戦」という予想を覆し36対7でくだし、今年の対抗戦は終了した。
結果、対抗戦2019年の結果は
■明治 : 7勝
■早稲田: 6勝1敗
■帝京 : 4勝3敗
■筑波 : 4勝3敗
■日体大: 3勝4敗
■慶應 : 3勝4敗
■青学 : 1勝6敗
■成蹊 : 7敗
となり、上位4校の明治・早稲田・帝京・筑波が大学選手権出場権を得ることになった。
(※詳しい星取表はこちらでご確認ください ⇒ https://www.rugby.or.jp/univ/sheet/1410/)
残念ながら、我が母校慶應は22年ぶりに大学選手権を逃すという辛いシーズンだったが、今日は「節目」だと思い、
ざっくりと今年の対抗戦:慶應大学ラグビー部に付いて思ったことを備忘録がてら記そうと思う。
新体制への移行の難しさ
今年は慶應としては色んな意味で「変化にチャレンジする」年であったように思う。
■ 創部120周年ということでのOBからの期待(プレッシャー)
■ 金沢HC ⇒ 栗原HC への移行
そして、
■ 慶應高校時代に花園に出場した去年の4年生の卒業による戦力ダウン
筆者のような慶應ファンからすると、ワクワクな気持ちがあると同時に、
1ラグビー経験者としては心配な気持ちにもなった不思議な年だったように思う。
※慶應大学2019年の新体制はこの記事で触れております。
シーズンを振り返ってみると、やはり去年の4年生の抜けた穴が思いの外大きかったように思えた。
それは、別に「戦力ダウン」という意味ではない。
今年は優秀な1年生もたくさん入ったし、シーズン途中から慶應初の留学生も投入するなど、過去の慶應の言い訳である「人材不足」がこの結果の最大要因とは思えない。
十分、才能ある選手がいる。
20年・30年前以上の慶應OBからしてみたら、羨ましいったらありゃしないだろう。
じゃあ、なぜ勝てなかったのか?
それは、個人的に1番感じるのは
「本番の経験値」
だと考える。
確かに、キャプテンの栗原選手やバイスキャプテンの川合選手など、昨年から対抗戦の経験値を積んでいるが、今年のレギュラーメンバーの中に
「あまりにも対抗戦経験者が少なすぎる」
ことが、要因だったように思う。
他の実力校は、なんだかんだ半分くらいは公式戦経験者が次の年も残る。
そのくらい、慶應は昨年にかけていたのだろう。
その弊害が、今年の皺寄せとして現役生に想像以上に「見えない負荷」としてのしかかったように思われる。
きっと首脳陣も、さすがにここまでとは想定外だったのではなかろうか?
やはり、練習試合と公式戦は違う。
もっというと対抗戦の中でも、慶明戦や早明戦は独特な意味を持つ。
そこで、大事なのは
「経験値」
当然、実力ありきだが、この目に見えないフワフワした抽象的なものが、特に大学ラグビーでは勝敗を分けると筆者は強く感じた。
だからなのだろうか??
対抗戦途中から、慶應は1年生をたくさん投入する方針に変えた。
きっと来年を見据えての選択だろう。
卒業する4年生との内部衝突も容易に想像つくが、組織が強くなるためにある程度しようがない選択だったと思う。
来年に期待だ。
というか、後でも触れるが最後に意地を見せた帝京戦の姿は慶應ラグビー部の明るい未来しかない。
対抗戦のレベルの向上
何よりも慶應が大学選手権に残れなかった理由は、
・筑波(7年ぶりの敗戦)
・日体大(11年ぶりの敗戦)
この2チームに、しかも、
「ラスト1プレイ」の逆転負けを喫したからだ。
当然筆者は2試合とも観戦しているが、慶應は本調子ではなかったとはいえ、さすがに負ける試合展開ではなかったと思われる。
が、
それは筑波と日体大が去年までの実力での話。
今年は、この2校は去年よりも圧倒的に成長したと感じた。
筑波は明治と帝京にもいい試合をしている。
日体大も帝京とはいい試合をし、早稲田からトライも奪っている。
・・・なかなか、去年までは見られなかった光景だ。
帝京・明治・早稲田・慶應が頭1つ出ていた感じで、他校との差はかなりあったはずが、、
対抗戦全体の底上げを感じた年だった。
逆に言うと、4位で大学選手権に出る筑波大学には、かなり期待してしまう。
トーナメント表で言うと、初戦が関西2位の同志社大学。
もし勝てたら次はリーグ戦1位の東海大戦。
筆者は、実はここをかなり楽しみにしている。
(ぶっちゃけ、今年の筑波は同志社・東海大を倒して準決勝で明治にあたると予想している)
今年の大学選手権のダークホース、一番大会をかき乱してくれそうなのが、慶應の代わりに出る筑波大だ。
ラスト1プレイ逆転 呪縛からの脱却
幾ら大学選手権に出れないとはいえ、最後まで慶應を応援し続けた。
それがファンとして当然の責務である。
(なかなか見ている方は辛いが……)
伝統の慶明戦に3対40 ノートライで敗れ、早慶戦は意地を見せて粘るも、10-17で勝ち切れず。。。
このままシーズンが終わるか・・・と思った最後の帝京戦で慶應はプライドを見せてくれた。
なんと、9年ぶりに勝利をしたのだ。
【29対24】
この勝利は色んな意味で重要な意味を持つ。
先ずは、当たり前だが「勝った」という事実。
だけど、筆者はそれ以上に重要だと思うのは
「1トライ差という僅差で勝てた」ということだ。
このPARTの題名にある
「ラスト1プレイ逆転の呪縛」というのは、実は去年の大学選手権準々決勝の早稲田の時から始まっている。
先ほどもお伝えしたが、去年の慶應の4年生は高校時代花園を経験した選手が多くて、いつも以上に人材が充実していた。
だから、OBもファンも期待していたし、優勝できる実力も十分にあった。
しかし、大学選手権の準々決勝で、ラスト1プレイで早稲田に逆転された……
しかも、あまりこういうことは言いたくないが、その逆転の要因になったスクラムコラップシングのペナルティの判定が試合後、相当物議を醸した、、後味の悪い結果であった。
筆者もなんども見たが、あれはどう考えても慶應のペナルティではない。
ただ、これは人の目で審査を行うスポーツとしては宿命。
受け入れなきゃいけない。
今年の筑波に最後の1プレイで逆転されたのを見たときは、マジでデジャブを感じた。
「去年と一緒じゃん・・・」
そして、W杯休み明けの日体大戦も全く同じラスト1プレイでの逆転。。
筆者は、あまりスピリチャルなことを信じるタイプではない。
だが、さすがにこの時ばかりは
「呪われているんじゃないか?」
そう思った。
だけど、やっぱそんなもんはない。
なぜなら、慶應の選手たちは帝京戦でそれを証明してくれたからだ。
全く同じ構造だった。
ラスト1プレイまで1トライ差でリード。
去年の大学準々決勝の早稲田との試合、今年の対抗戦の筑波と日体大との試合、
また同じく「ラスト1プレイで逆転負けしてしまうのか?」
見ているこっちは気が気じゃない。
だけど、、選手たちは守りきってくれた。
呪縛なんて言ってた自分が恥ずかしい・・・
やはり、未来は自ら切り拓くもの。
慶應の帝京に対する試合を見て、心の底からそう思えた。
感動をありがとう。
最後まで応援し続けて本当に良かった……。
確かに、今年の帝京も慶應と同じく色んな意味で試行錯誤を繰り返している。
例年より実力が劣っていると言う声もあるが、そんなの関係ない。
「勝ちきった」
「1トライ差を守り抜けた」
この事実が来年の慶應の躍進に繋がると心の底から思えた素晴らしい試合だった。
なんか、帝京戦後、
「彼らの大学選手権での活躍を見たい」
と、心の底から思っている自分がいた。
明治⇒早稲田⇒帝京と強いチームに当たればあたるほど、どんどん力を付けていく慶應。
だけど、ここは勝負の世界。
来年に楽しみはとっておこうと思う。
以上になります。
関係者がもしこの記事に触れたら、きっと嫌な気分になる人も多いと思う。
だけど、筆者は慶應ラグビーを愛しているからこそ、今のこの想いを文字に残しておきたい。
来年、たった1年で復活を成し遂げた時にもう1度読み返し、
「こんな年もあったな~」
と笑って、書いた自分を責めいていたい。
本当に本当に、、今年の4年生の皆様、、お疲れさまでした。
きっと我々には全く見えない、辛いこと苦しいことがたくさんあったことは容易に想像ができます。
最後、帝京戦のマンオブザマッチに選ばれた川合選手のスピーチは、涙無くして聞けなかった。
本当にお疲れさまでした。
きっと、この1年の経験はこれからの皆んなの人生に絶対にいい影響しか及ぼさないと強くいえる。
そして、3年生以下の来年の活躍を一緒に応援しましょう。
それでは……
最後にもう一度だけ、、
2019年度の慶應ラグビー部の皆様へ、、
感動をありがとうございました。