12月1日(日)、25年ぶりの早明戦全勝対決が行われる。オールドラグビーファンにとってはたまらない好カードのメンバーが29日、発表されたので、想ったことや、直前の楽しみ方などについて、ざっくばらんに話して行こうと思う。
ちゃんとした予想は、にわかファンの三浦聖樹と佐野正一の2人バージョンを是非、参照いただきたい。
目次
早明2強時代
僕が小学生の頃なので今から25年以上前のことになるが、ラグビーと言えば、早明の2強時代があった。
慶應も勝てなかったし、その頃の帝京大学は今のようにまだ強くは無かった。リーグ戦で言えば、関東大学がまだ強くなりかけの頃で、関西では平尾誠二さんの抜けた同志社が低迷期に入っていた時であった。
そんな早明の全盛期には、対抗戦での全勝対決はよくあり、1位2位が早稲田と明治で決まりで、となると、大学選手権のトーナメントでは一番遠いところにいるので、決勝で再び、早明戦となったものである。
その頃のことを覚えているオールドファンにとっては、今回の全勝対決は久しぶりで懐かしい気持ちになるんじゃないか。僕もとても楽しみだ。
早稲田と明治はファンを魅了するラグビースタイルということもあり、YouTubeを通して、両大学のファンが多いことを知るにつれ、解説が少しでも役に立ってくれればと思っております。
早明戦メンバー発表!
それでは発表されたメンバーを見て行こう。
早稲田と明治のメンバー発表を見て感じたことは、もうまとまってきたなということ。大きな怪我人が出ない限りは、このメンバーで行くというのが決まってきた。
比較してみると分かりやすいと思うのだが、僕の母校の慶應義塾は、最後までメンバーが固まらなかった。そういうチームは多く、大会の中で好調だった選手を使ってみようとか、今回、イマイチだったから次は外そうとか、そういった、大会の中で試行錯誤するチームはあるのだが、強いチームというのはメンバーが固まっているものだ。
これはラグビ-あるあるなのだが、夏合宿を終わったあたりに何となく固まってくる。早くメンバーを固めた方が、チームとして強くなる。だけど、両校はそれぞれ部員が100人くらいおり、固まったメンバー以外にチャンスをあげないのかと揉めることもあるのだが、強いチームというのは大会中ほぼ、メンバーは決まっているものなので、今回の明治と早稲田のメンバーを見て、特に驚くことはなかった。僕と一緒にこれまで観てきている方ではれば、このメンバーなのね、という感想だろう。
しいてあげるとすると、早稲田でこれまでルーキーとして活躍していた1年ながら中心的選手の相良昌彦選手(FL)の名前が無いので、怪我なのかと心配するものの、早稲田のバックロー陣、6番、7番、8番は競争が激しく、代わりに出場の大崎哲徳選手は2年生で身長182センチ、体重95キロと体格も素晴らしく、チーム力として特にマイナスは無いかなと。
明治大学は、早慶戦、帝京戦とメンバーは全く一緒で、つまりは怪我人も出ていない素晴らしい状態と言える。
経験値はイーブン
1つだけ、両大学を対比してみて思ったことは、明治大学は4年生が8人、3年生が5人、2年生2人、それに対して、早稲田大学は、4年生6人、3年生が3人、2年生がなんと6人いる。
早く言うと、早稲田の方が選手が若いメンバー構成になっている。
軽く計算したところ、明治は平均3.4年、早稲田が3年で、0.4年分、早稲田が若いことになる。
それをどう捉えるかだが、明治は今年は僅差の接戦が無く、接戦を制してきた早稲田と経験値で差があり、早稲田が僅差で抑えることができたら最後に勝負強さを見せるんじゃないかと予想をしたものの、明治には去年優勝したメンバーが多く残っており、去年からの経験値というものがあることが、年齢や学年からも検証できているので、経験値の点ではイーブンという判断となった。
明治大学 高橋広大選手(3年FL)と選手層の厚さ
メンバーの話しで言うと、先の帝京戦では、明治大学は後半にリザーブの選手を全員交代出場させたのだが、その中に1人面白い選手を見つけた。
リザーブ19番の高橋広大(たかはしこうだい)選手だ。桐蔭学園出身の3年生でポジションはフランカー。明治大学のフランカーのポジションは、昨年から6番の石井洋介選手(4年)や同じ3年で7番の繁松哲大選手が大活躍しており、競争が激しく、高橋広大選手は、中々、試合に出れていないのだろうが、帝京戦では短時間だったものの、日本代表の姫野和樹選手並みのジャッカルをしていたのに目が留まった。
石井洋介選手は4年生なので来年卒業となると、この高橋広大選手がレギュラーになるのかと思うと期待が湧いてくる。
なんでこういう話をしたのかというと、ワールドカップでは日本が南アフリカに勝てなかった理由の1つとして選手層の問題があると思うのだが、大学選手権になってくると、スケジュールが過密になるため、選手層が重要なポイントになってくる事を考えると、明治大学の選手層の厚さは凄いんじゃないかと感じた。
トータルでは、下馬評も含め明治が優勢だが、そこは早明戦である。
先の早慶戦で、10-10で前半を折り返した時のインタビューで感想を聞かれた早稲田の相良監督は、「自分達はもっと行けるかと思ったが、これが早慶戦ですね」と言ったコメントが印象的であった。
やはり早慶戦、早明戦、慶明戦は、何が起こるか分からず下馬評は宛にならない。
早稲田が明治に勝つ為に必要なストーリーとは?
早稲田の岸岡智樹選手(4年SO)は、キックメイキングが上手く、キックも跳び、状況判断も上手いのだが、明治のウイングで僕が大好きな山崎洋之選手(4年)や山村知也選手(4年)、フルバックの雲山弘貴選手(2年)のカウンター攻撃のレベルがハンパ無い。先の試合でも、帝京大学はキックをして失敗しており、敵に簡単にボールを渡してしまうと即効でカウンターされてしまう。
早稲田が明治に勝つ為に必要なストーリーとは、岸岡智樹選手(4年SO)鋭い視野でもって、明治に必ずクリーンキャッチさせないこと、ノーバウンドでなく必ずワンバウンドさせたり、頭を越すキックなど、そして、もしそれがイマイチ機能しなかった場合は、経験豊富な岸岡智樹選手(4年SO)と斉藤直人選手(4年SH)のことなので、展開に切り替えれるような柔軟なラグビーができるかどうかがかなり重要になってくる。
早稲田の岸岡智樹選手(4年SO)がキックをちゃんと蹴れるのかがキーポイントになると思う。
キックが決まればいいが、明治の後ろの3人に簡単にキャッチさせると痛い目に合うと思うので、そこが見どころの1つかなと思っている。
明治は隙無しで、横も縦もディフェンスも素晴らしいのだが、早稲田の強みである展開を、縦縦だけじゃなく横の展開をどれだけできるのか、そして、前半から飛ばしまくって、後半、明治を如何に疲れさすのかも、勝つ為には絶対に必要になってくるのではないか。
個々の選手には触れていないが、早稲田もリザーブを含めた23人での総力戦となり見どころ満載だ。
下馬評の明治が勝つか、意地を見せて早稲田が勝つか、オッズを賭けるのだとしたら、どちらに賭ければいいのか分からない勝負だと思うので、ぜひ、皆様、楽しみにしていただければと思います。
早明戦見どころまとめ
・このタイミングでメンバーが固まっているのは充実している証拠。あいつを試してみよう、あいつを休ませようというのも無く、このメンバーで行くのだと決まっている今年の早稲田と明治は強い。
・経験値としては、今大会は接戦の無い明治に対して、早稲田は接戦を制してきたが、去年までに散々、修羅場をくぐってきた明治の経験を考えるとイーブン。
・試合の重要なキーポイントは、天才スタンドオフと言われている早稲田の岸岡智樹選手のキックの精度に掛かっている。中途半端なキックは明治の後ろ3にマジでやられてしまうので、そうなった場合は、臨機応変に横へと展開ができるのか。
早明戦 地上波NHK総合で生中継!
早明戦の試合は、12月1日(日)13時50分から地上波NHK総合で生中継される。
ゲストの田村優選手と山中亮平選手の学生時代とは?
試合の解説には、日本代表で明治出身の田村優選手(キャノン)と、早稲田出身の山中亮平選手(神戸製鋼)が特別ゲスト解説者として出演予定だ。
田村優選手は、高校時代(国学院栃木)のポジションはフルバックだったのだが、明治大学在学時にスタンドオフになって才能を開花させ、山中亮平選手は、東海大仰星高校で優勝した時はスタンドオフだったが、日本代表ではフルバックになった、という2人の比較がおもしろい。
エンターテイメント性を持った解説をしてくれると思うので、ぜひ、楽しみにしたい。
明日30日(土)の慶應義塾対帝京大学の試合は、11時半にキックオフだ。jsportsに加入している方はぜひ、合わせて楽しんでいただけたらと思う。
早明戦:早稲田大学メンバー一覧
1PR 横山太一(よこやまたいち)2 国学院久我山
2HO 森島大智(もりしまだいち)4 早稲田実業
3PR 小林賢太(こばやしけんた)2 東福岡(U20日本代表)
4LO 三浦駿平(みうらしゅんぺい)4 秋田中央高校
5LO 下川甲嗣(しもかわかんじ)3 修猷館高校
6FL 大崎哲徳(おおさきてつのり)2 國學院久我山
7FL 幸重天(ゆきしげたかし)4 大分舞鶴高校
8NO8 丸尾崇真(まるおたかまさ)3 早稲田実業(U20日本代表)
9SH 齋藤直人(さいとうなおと)4 桐蔭学園(ジャパンA)
10SO 岸岡智樹(きしおかともき)4 東海大仰星
11WTB 古賀由教(こがよしゆき)3 東福岡(各世代)
12CTB 中西亮太朗(なかにしりょうたろう)2 早稲田実業
13CTB 長田智希(おさだともき)2 東海大仰星(U20日本代表)
14WTB 桑山淳生(くわやまあつき)4 鹿児島実業(U17日本代表)
15FB 河瀬諒介(かわせりょうすけ)2 東海大仰星(高校日本代表、U20日本代表)
16PR/HO 宮武海人(みやたけかいと)2 早大学院
17PR 久保優(くぼすぐる)3 筑紫高校(高校日本代表)
18PR/LO 阿部対我(あべたいが)2 早稲田実業
19LO 中山匠(なかやまたくみ)4 成城学園
20LO 柴田徹(しばたてつ)4 桐蔭学園
21SH 河村謙尚(かわむらけんしょう)2 常翔学園
22SO 吉村紘(よしむらこう)1 東福岡(U17日本代表)
23SO/CTB 梅津友喜(うめつゆうき)4 黒沢尻北高校
早明戦:明治大学メンバー一覧
1PR 安昌豪(あんちゃんほ)4 大阪朝鮮
2HO主将 武井日向(たけいひなた)4 國學院栃木
3PR 笹川大五(ささがわだいご)4 明大中野
4LO 片倉康瑛(かたくらやすあき)3 明大中野
5LO 箸本龍雅(はしもとりゅうが)3 東福岡
6FL 石井洋介(いしいようすけ)4 桐蔭学園
7FL 繁松哲大(しげまつてった)3 札幌山の手
8NO8 坂和樹(ばんかずき)4 明大中野八王子
9SH 飯沼蓮(いいぬまれん)2 日川
10SO 山沢京平(やまさわきょうへい)3 深谷
11WTB 山﨑洋之(やまさきひろゆき)4 筑紫
12CTB 射場大輔(いばだいすけ)4 常翔学園
13CTB 森勇登(もりゆうと)3 東福岡
14WTB 山村知也(やまむらともや)4 報徳学園
15FB 雲山弘貴(くもやまひろき)2 報徳学園
16HO 松岡賢太(まつおかけんた)4 京都成章
17PR 山本耕生(やまもとこうせい)2 桐蔭学園
18PR 大賀宗志(おおがそうし)1 報徳学園
19FL 高橋広大(たかはしこうだい)3 桐蔭学園
20FL 柴大河(しばたいが)3 國學院久我山
21SH 丸尾祐資(まるおゆうすけ)1 報徳学園
22CTB 児玉樹(こだまいつき)2 秋田工業
23WTB 石川貴大(いしかわたかひろ)3 報徳学園