ラグビー早慶戦・明治対帝京戦の結果と感想、早明戦12月1日全勝対決の予想概略関東大学対抗戦の早慶戦が11月23日、明治大学対帝京大学が24日に秩父宮ラグビー場で行われ、早稲田大学が17-10で慶應大学を、明治大学が40-17で帝京大学を下し、12月1日の早明戦は25年ぶりの全勝対決となります。

熱戦となった2試合を振り返りつつ、12月1日の早明戦の予想概略についてお話しています。

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ラグビー早慶戦は慶應大学が10-17で早稲田大学に惜敗

11月23日(土)に行われた早慶戦の感想と解説。

惜しくも慶應は負けてしまいましたが、前半の折り返しで同点、しかもワントライ差という接戦に。

先回の動画で、11月23日は絶対晴れると言っていたのに当日は雨だったが、30年以上見てきた試合で、雨になったのは初めてだと思う。

雨の中のラグビーの試合は、ボールは濡れて滑るし地面もぬかるむしで、展開のラグビーを得意とする早稲田には不利な条件だったのかもしれないが、「この2週間死ぬ気でタックルを練習していた。」という栗原HCが言っていたように、慶應が半端ないディフェンスで早稲田を抑えた場面が目立った。

そして筆者が大好きな相部開哉君(4LO)が途中で変わったのは、やはり怪我の状態がギリギリだったからのようだが、凄い活躍を見せてくれたし、

山本凱選手(7FL)と原田衛選手(2HO)も、目を見張るものがあった。

(写真:慶應義塾體育會蹴球部 公式サイト

最終的には早稲田に勝てなかったが、来年の慶應が楽しみになるラインナップで、慶應勝利の期待は膨らむばかりだ。

勝敗を分けた理由のひとつとして、これまた先回「慶應が勝つための3つのストーリー」の動画を撮ったが、その2つ目のラインアウトで2.3個取ることが出来たら流れが変わったのかもしれない。

これは慶應が下手だということではなく、早稲田と明治のラインアウトのディフェンスがハンパ無く上手いんだと、次の日24日に行われた帝京対明治の試合を見て強く感じた。

帝京もラインアウトを取ることができれば、また結果は変わっていただろう。

W杯ではラインアウトのボールを易々と自陣のチームが取っていたが、大学ラグビーではそうはいかなかったのは、それだけ難しいプレーであると同時に、その当たり前のことを当たり前にできるチームが勝つという事だ。

明治対帝京は40-17で本気の帝京大学を明治大学が粉砕

翌11月24日(日)は明治大学対帝京大学の対抗戦が行われた。

jsports解説の藤島大さんの第一声が「帝京の事前の練習がヤバかった」という入りだったが、その通りカリスマキャプテン本郷泰司選手(7FL)の気合いの入りようは凄く、過去に9回連続優勝したということに関係なく、チャレンジャーとしての気概が見られたが、明治大学がそれを上回った。

(写真:帝京大学 ラグビー部

本郷泰司選手(7FL)は元々、センターだった。

日本代表選手のセンターと言えば、ラファエレ選手や中村亮土選手のポジション。

が、今日はフランカーとして出場。

帝京大学の岩出監督が、タックルの上手い本郷選手が最も輝けるポジションでプレーをさせたいと、この1週間でフランカーに抜擢したのだ。こんな短期間でのコンバートは聞いたことがない。

つまり、日本代表の中村亮土選手が次の日、起きたらリーチマイケルのポジションになっている、ということだ。

今W杯日本代表の最終選考で惜しくも落選した布巻峻介選手(パナソニック)は、早稲田大学3年時にそれまでのセンターからフランカーに転じて才能が更に爆発した。

(写真:パナソニック ワイルドナイツ

布巻選手の例もあるように、センターからフランカーへのコンバートには未来を感じる。

今日の試合で、本郷泰司選手(7FL)はキックが蹴られた後、誰よりも一番速く走り、そのボールが蹴り返されたとなったら、誰よりも一番速く走って戻るという姿に震えるほど感動した。

留学生も3人加え本気の帝京だったが、そんな帝京を明治が粉砕することとなった。

キックオフで試合開始となり、明治が蹴ったボールを帝京大学No.8の屈強な留学生(ミティエリ・ ツイナカウヴァドラ)がキャッチしていよいよ始まったと思った瞬間に倒されたのだが、タックルしたのは明治大学のキャプテン武井日向選手(2HO)だった。

この瞬間、明治大学の他の14人のメンバー、「キャプテン本気だ」と奮い立ったことだろう。

(写真:帝京大学 ラグビー部

(写真:明治大学ラグビー部

今、問題になっている逆ヘッドだったことはちょっと心配ではあるが、それぐらい気迫溢れるキャプテン自らが体を張ったタックルを見せ、人によってはこの試合はこれで決まったと言ってもおかしくない、と言わせるものだった。

最初から凄い試合となった。

残り20分となり、明治の勝ちがほぼ決まりとなっていたが、そうなると負けているチームは諦めて何トライも取られることが多いのだが、本郷泰司主将(7FL)率いる帝京大学は誰一人手を抜くことは無く締まった試合となった。

前半は26-3で明治が折り返したが、後半だけを見れば、14-14の同スコアであった。

試合としては、40-17で明治の圧勝となった。

帝京大学は先の動画で注目選手として紹介したウィングの尾崎泰雅選手(3年)とNO.8の安田司選手(3年)が怪我で欠場の辛い状況の中でも強かったと言えるだろう。

(写真:帝京大学ラグビー部

このままいくと、帝京大学は対抗戦3位となり、大学選手権で関西の1位となるであろう天理と早くも2試合めでぶつかる可能性が高い。

天理と言えば、昨年の大学選手権準決勝で帝京大学の10連覇を阻止した因縁の相手である。

参照:第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会トーナメント表

天理大と戦うことになるであろう12月21日までには、尾崎選手と安田選手も怪我から復活し、帝京大学は完璧な状態だろうし、天理大学は、今年も、関西大学リーグで圧勝中だ。

12月1日の早明戦は25年ぶりの全勝対決!予想概略

そして、何よりも、ここまで早稲田大学、明治大学ともに6戦全勝で12月1日(日)の早明戦を迎えることとなる。

勝った方が、関東大学ラグビー対抗戦2019の優勝チームとなる。

早明戦の試合の様子はNHKの地上波で午後1時50分から生中継される。

関東大学対抗戦のスケジュールは昔から、最後に早明戦が行われて終わりとなるのだが、僕が中学生か高校だった頃、早稲田大学と明治大学があまりにも強すぎて、全勝対決でぶつかった早明戦で、例えば、明治が勝利となっても、大学選手権の決勝で再びこの2校が戦い、逆の早稲田が勝ったりと、大学ラグビーは早明だけで戦っていた時代があったくらいだった。

全勝対決は1994年以来の25年ぶりとなる。

なぜ25年ぶりなのかというと、そこには帝京大学の躍進であったり、慶應大学が日本一になった時もあり、対抗戦最終の早明戦の前に黒星がつくようになったからである。

今年の明治大学の完成度を倒せるのは早稲田大学しかいないのではと思う。

というのも、帝京大学や天理大学など強固な体幹から繰り広げられるフィジカルが強みのチームは、今の明治大学に真っ向勝負しても勝てないのではないか、であれば縦横理論ではないが、違う崩しが必要なんじゃないかと思うからである。

今日の試合で、明治大学は残りの10分でリザーブの選手が全て出て来たのだが、ワールドカップの南アフリカ状態で、元気な奴が出て来た、といったような選手層も厚く、今の明治は隙無しだ。

バックスの山沢京平(10SO)の太々しさは半端ないし、彼は昨年までフルバックだったが、彼がスタンドオフになったことで、よりチャンスメイキングをできるようになった。

優秀なフルバックをスタンドオフにするというのは近代ラグビーの流れで、というのもフルバックからスタンドオフになると、ボールを持つ回数が10倍になり、それは、チャンスメイキングをする時間がフルバックの時よりも10倍になるということだからだ。

山沢選手がスタンドオフになったことで、フルバックのポジションにはそれまで山沢選手の影に隠れていた雲山弘貴選手(明治2年)がレギュラーとなり、攻撃の幅が圧倒的に広がることとなった。

そして、もう一つ、僕が思う早稲田大学が明治大学に付け入る隙として一番重要なのが、点差を離されないことだ。

明治大学は、慶應大学相手に40-3、帝京大学にも40-17とこれまで圧勝してきている。

だが、早稲田大学は、帝京大学には残りワンプレーでギリギリ逆転勝利を勝ち取り、今回も手負いの虎と言われていた慶應義塾大学に牙を剥かれて、最後まで分からない展開となった。

このギリギリの試合を経験している早稲田大学と、していない明治大学との差があることから、早稲田大学がくらいついてワントライ差の緊迫したゲーム展開となったら、最後に勝負強さがでるんじゃないか。

実は、去年、天理大学が最後の決勝戦で負けた理由は、天理大学は関西の大学の中で王者すぎて、予選で競った試合を経験していなかったからではないか、という人もいる。

慶應義塾大学と帝京大学との試合での早稲田のギリギリの経験値は大きい。

対して、明治大学はこれまで全て圧勝してきているため、ギリギリの経験が今まで1回も無いのだ。

25年ぶりの全勝対決となる早明戦は、12月1日(日)午後1時50分からNHK地上波で生中継される。

素晴らしい試合になると思うので、楽しんでもらえるように追加の動画も撮っていく予定だ。