早慶戦・早明戦2019の魅力を解説!早稲田・慶應・明治大学ラグビー部の歴史やプレースタイル、注目選手を紹介 

大学ラグビーの歴史を創ってきた早稲田大学、慶應大学、明治大学の対抗戦である早慶戦が11月23日(土)にEテレで、早明戦が12月1日にNHK地上波で生放送予定。

早慶戦・早明戦をもっと楽しんでもらいたいと、筆者がそれぞれの歴史やプレースタイル、4年後のワールドカップ日本代表候補間違い無しの注目選手について、にわかファンの佐野と聖樹とともに、ラグビー初心者の人にもわかりやすく解説しました。

かなりマニアックな内容となっていますが、早慶明戦を見る前に知っておくと、もっと楽しく観戦できるかと思います。

・早慶戦 Eテレ LIVE
11月23日(土)午後2時-(午後4時)
関東大学ラグビー対抗戦「早稲田」対「慶應」

・早明戦 NHK LIVE
12月1日(日)午後1時50分-(午後3時50分)
関東大学ラグビー対抗戦「明治」対「早稲田」

動画の内容はこちら

早稲田・慶應・明治、大学ラグビーの歴史を語る

早慶明三大学がラグビー伝統校の理由

ラグビーが日本に伝来したのは、今からちょうど120年前の1899年秋に慶応義塾大学の英語講師であF・Bクラーク氏によって学生たちに伝えられ、そこから兄弟的存在の早稲田・明治が続いたとされている。

(E・B・クラークを中心にした1901年の出場メンバー:詳しいラグビーのルーツはこちら

大学ラグビー、関東は2つのリーグ

大学ラグビーのリーグは、この2つ。

・関東大学対抗戦 Aグループ(早稲田、慶應、明治、帝京、筑波、青学、日大、成蹊)

・関東大学リーグ戦1部(東海、大東文化、流通経済、法政、日本、拓殖、専修、中央)

関東大学対抗戦Aグループ上位4チーム、関東大学リーグ戦1部上位3チームが大学選手権に進出し、早慶明の学生はラグビーに興味は無くとも、行事的なイベントとしてその時期は学校全体が盛り上がりを見せ、W杯でラグビーが盛り上がったがそれに関係なく、早慶戦、早明戦の秩父宮の3万人入る会場は、例年毎年満員になるほどである。

現在の大学ラグビーは群雄割拠で、昨年明治大学が優勝して10連覇できなかった帝京大学、そして関西の天理大学、リーグ戦は東海大学が注目されているが、やはり早慶明の選手は伝統校としてのプライドがあり、選手には独特のプレッシャーがかけられるほど、異常に多いコアファンからの重圧が凄い。

早慶明三大ラグビー部を大解剖!

早稲田のラグビースタイル

バックスの早稲田、横の早稲田と言われていて、FDが弱くてもスピードと展開で勝つのが伝統的な早稲田スタイルで、とりあえず走りまくるので、早稲田と試合した時は一番疲れるが、見ていて楽しい試合展開になる。

明治のラグビースタイル

高齢になっても監督を続け、ヘビースモーカーで有名な伝説的監督である故北島忠治さんからの教えは「前へ」。それ故に早稲田の逆で、明治大学は「縦の明治」と言われている。

ラグビーと言えばルール的に後ろへボールを回さなきゃいけないが、明治のスタイルは「困ったときは1歩でも前へ」。明治の合宿所にはデカデカと「前へ」と書いてある。

なので早明戦は横の早稲田対縦の明治で、異常に盛り上がる試合が見られる。

慶應のラグビースタイルと歴史

慶應のスタイルは、いつからか明治早稲田よりも自分たちは劣るので、両校に勝つために唱えていたのが「魂のラグビー」。

早明に勝つにはタックルしかないんだという意識が強く、試合の8割はタックルだと思わせるほどで、慶應と試合をした後は、一番身体が痛いと言われている。

一時期は縦と横の展開に勝つために、W杯で優勝した南アフリカのデクラークが得意としているハイパント攻撃も行われていた。

この3校は伝統校ということもあり、他の大学より連絡を密に取りながら、ラグビーを盛り上げようという意識も強かったが、慶應は両校よりも劣るので、自分たちは誰よりも練習してタックルで勝たなければいけないという使命感があった。

特に合宿は「地獄の夏合宿」と言われ、筆者が現役だったころの5年前くらいは練習が辛すぎて集団脱走事件も起き、その様子がフライデーに載ったほどだ。

そんな慶應に改革をもたらしたのが、故上田昭夫監督で、人材が少ない中でも日本一を2回取っている。

他大学は早慶明の背中を追っかけていたが、今の大学ラグビーは群雄割拠で早慶明が必ず強いというわけでもないのに、毎年テレビ中継があるのはそういった背景があったからである。

早慶明ならではの関係とは?

今年は残念ながら慶應が不発だったが、その後に筆者が応援したくなるのはやはり早稲田と明治で、きっと早稲田と明治の選手も、自分たちが負けたとしたら慶應を応援してくれると思うし、今年の慶應の不発を悲しんでいるのではないだろうか。

もちろん練習の時にはライバルを意識して、合宿所に置いてある両校のジャージをタックルマシーンに被せ、自分と同じポジションの選手の名前を叫びながらタックルの練習をしていた。

そして特に早慶戦の展開は予測不能なところもあり、23日の試合も早稲田が勝つだろうと思ってはいるが、どこかで期待している自分がいる。

早慶明三大学ラグビー注目選手

慶應は来年以降に期待するが、今年の早稲田と明治には未来の日本代表候補が沢山いるので、特に注目している選手を数名上げてみようと思う。

早稲田大学の注目選手

直前まで日本代表候補だった、ペナルティキックも狙えるスクラムハーフ、キャプテンの齋藤直人選手(4年)

その齋藤選手の夫婦役である、10年に1人の逸材と言われている、視野が異常に広いスタンドオフの岸岡智樹選手(4年)

この2人は高校ラグビーの桐蔭学園と東海大仰星で、花園の決勝で対決していて、1年から早稲田のレギュラーを勝ち取り、かつての最大の敵が今では最強のコンビとなっている。

そんな強豪ぞろいの中で1年でレギュラーの座を取っている相良昌彦選手(FL/NO8・1年)は、父親が早稲田の監督ということで、コネがあるのではと噂されているが、試合を見るとそんな考えは吹っ飛んでしまうほどの実力の持ち主。

テレビで見るとモデルのような体型と甘いマスクを持った河瀬諒介選手(FB・2年)

その見た目とは裏腹に、走れば速く、なかなか倒れず、今後も慶應のライバル的存在となるであろう。

(写真:https://www.wasedarugby.com/member_list/

明治大学の注目選手

昨年優勝した明治はタレントの宝庫であり、特に筆者が好きなのは、先日の慶明戦で誰よりもタックルしていた、キャプテンの武井日向選手(HO・4年)

まるでキングダムに出てくる信のように、体を張って仲間たちを引っ張っていくリーダー的存在。

 

フォワードの明治は、バックスが強い時に優勝し、バックスの早稲田は逆にフォワードが強い時に優勝する傾向にあるが、今年の明治は特にバックスの充実ぶりが顕著にみられる。

パナソニックのスタンドオフで日本代表候補にもなっていた兄を持つ、山沢京平選手(SO・3年)

おとなしそうな雰囲気とは裏腹に、そのスピードとテクニックに目を見張ってしまう山崎洋之選手(WTB・4年)

そして、明治大学のフォワードは全員日本代表候補クラスが勢ぞろいしている。

・安昌豪選手

・笹川大五選手

・片倉康瑛選手

・箸本龍雅選手

・石井洋介選手

・繁松哲大選手

・坂和樹選手

明治は隙が無く優勝候補No.1で、基本は縦の明治だが、横の明治が沢山観れるのが今年の試合なので、12月1日放送の早明戦も目が離せない。

(写真:https://www.meijirugby.jp/players/

慶應大学の注目選手

人材不足と言われている中でも注目の選手は、未来の日本代表候補の山本凱選手(FL/NO8・2年)

(写真:https://keiorugby.com/team/team_cat/player/

山本選手の怪我も悪い流れを作ってしまった原因だが、誰よりも低いタックルができる選手で要チェック人物であり、慶應の未来を背負っているスター。

特に今の慶應は1年生のレギュラーが多く、今年は大学選手権には出場できないが、来年・再来年の巻き返しを期待している。

もちろん今年の早慶明戦でも奇跡の勝利を信じているが、筆者は誰にも邪魔されたくないので、いつも同期に誘われるも会場には行かず、1人テレビの前で応援するのが例年のスタイル。

そのくらい思い入れが強い。

 

ということで、伝統校の3校を筆者なりに説明させていただきましたが、それぞれ伝統校のプライドという誇りを持ちつつ、それを意識しながら練習しているので、今後も温かい目で見守って欲しいと強く願っています。