ラグビートップリーグ「パナソニック」「神戸製鋼」2強時代突入か?今年のラグビートップリーグで、パナソニックと神戸製鋼の強さがどう考えても抜きん出ている。今日はこの2チームの強さの秘密に迫りたいと思います。

強すぎるぞ!!パナソニック・神戸製鋼2強時代突入か?

今年のトップリーグは上位チームと下位チームの差がそんなになく、どの試合も面白いという特徴があるんですが、それでもやっぱりこの2チームは別格だと皆さんも薄々感じていらっしゃるのではないでしょうか。

去年優勝の覇者である神戸製鋼は今年も引き続き強いですし、今年のトップリーグのサブキャッチコピーは「パナソニックの逆襲」と常々言ってきた通り、パナソニックは大暴れの活躍を見せてくれています。

このパナソニックは、去年の順位は6位だったのですが、その理由もお話していこうと思います。

2020年はパナソニックの逆襲

パナソニックは第1節のクボタ戦に34対11で勝利し、第2節の相手はヤマハ相手に1敗を喫してもう負けられないトヨタでしたが、蓋を開けてみたら40対20で大勝しました。

トヨタ戦では、最後、もうボールを切ってもいいところ、後半42分 にフィリモニ・ワンカイナベテ(23番FB)がトライを取りにいき、しっかりトライを取るおまけ付き。トヨタファンは、フィリモニ選手に対して、「憎たらし~!!」と思ったことじゃないでしょうか。

パナソニックが昨年6位の理由とは?

皆様、もうお忘れかもしれませんが、パナソニックの昨季の順位はなんと6位。

昨季のトップリーグ順位がこちらです。

1位 神戸製鋼

2位 サントリー

3位 ヤマハ発動機

4位 トヨタ自動車

5位 NTTコミュニケーションズ

6位 パナソニック

7位 クボタ

今年の強さからは信じられないと思いますが、2004年度もパナソニックは7位で、それ以来のひどい成績だと記事にもなっていました。

でも、昨年、パナソニックの成績がなぜ振るわなかったかの理由は皆さんすでにお分かりのことと思います。

そうです。昨年のワールドカップ日本代表の活躍はパナソニックのおかげといっても過言ではないです。

パナソニックからは日本代表選手がなんと6名も選出されています。

・ヴァルアサエリ愛(PR)
・稲垣啓太(PR)
・堀江翔太(HO)
・坂手淳史(HO)
・福岡堅樹(WTB)
・松田力也(SO)

更に、今季のトップリーグはサンウルブズと日程がもろかぶりなので、各企業は、サンウルブズへの選手の輩出について、静観の構えとなり、第一次スコッド発表の際は、日本で活躍する選手からは、早稲田大学の齋藤直人選手と、天理大学のフィフィタ選手のみでした。

どの企業もトップリーグで、自分たちのチームが強いということを示したいのは分かるんですが、そんな中、パナソニックは、主力選手である、布巻峻介(FL)、谷田部洸太郎(LO)、ツポウ テビタ(FL)、
森谷圭介(FB/CTB)の4選手をサンウルブズになんと輩出を決めました。

パナソニックは懐の深いチームだと、jsports解説者の藤島大さんも言っておりました。

パナソニックは、前身の三洋電機時代から、日本ラグビー発展への貢献は素晴らしく、僕らファンからしてみたら頭がほんと上がらないです。

神戸製鋼も一時期、母体が業績不振となった時もあったんですが、そんな中でもラグビーに対しての援助を惜しまなかった過去があります。

この2チームがあってこその、昨年のワールドカップでの日本代表の活躍があったと言えます。

じゃあ、なんで日本代表やサンウルブズに選ばれると成績が振るわなくなるかというと、

日本代表に選ばれたということは、日本代表の合宿に参加することになりますし、サンウルブズでも試合をするわけで、日本代表やサンウルブズの合宿や試合が終わって、いざトップリーグが始まるよ、となるときには、選手も疲れていて、練習どころではなくなるわけです。

記事によると、パナソニックでは、そんな時こそ若手が活躍するチャンスと言っていましたが、それでも主力選手が疲労で出れないとなると辛いはずがありません。

ですが、今年のトップリーグでは遂に、「俺らも本気だぞ!!」と言った本気ぶりが出ていることと、裏を返せば、昨年、主力選手が日本代表やサンウルブズに呼ばれていた時に、若手が頑張ってくれたことで、選手層が厚くなったことが強さの秘密としてあります。

まだまだその強さを温存しているように見え、パナソニックに勝てるチームはいるのかなと思うくらいです。

パナソニックの選手層の厚さとは

今、お話した選手層の厚さについてですが、トップリーグでは後半はリザーブが全員出てくるような状況が多く、23人で戦うというのが見て取れるかと思います。

大学選手権だと、残り5分とかになって全員が出るといったことが多かったり、高校ラグビーだとリザーブの数は多いものの出さないことが多いですが、トップリーグに関しては、選手交代が早いんですよね。

パナソニックで言えば、HO の坂手淳史選手が、後半には堀江翔太選手に交代するよ、といった勢いですし、僕が凄いなと思うのは、ハーフ団を変えることができることです。

つまり、前半は、内田啓介選手(SH)と山沢拓也(SO)がゲームプランを作っておいて、後半には、小山大輝選手(SH)と松田力也選手(SO)に代わるといった具合です。

昨年のワールドカップでの日本代表では、SHの流大選手から田中史朗選手に代わるというのを覚えているかと思いますが、SOまで代えるチームはあまりないです。

SHが前後半で変わると、テンポが変わるのはご存じのことかと思います。

リコーでも、マット・ルーカス選手(元サントリー)が、SHの控えとしていて、彼が出ることで試合のテンポが変わるということはあるんですが、SOまで変えるというのは見ないです。

ただでさえSHが代わることでテンポが変わるのに加えて、さらにSOまで変えてくるわけですからね。

しかも、交代によりレベルが下がるわけでもなく、ほぼ同じ実力か、逆に時にはそれ以上かという選手が出てくるのは、敵にとっては脅威でしかないでしょう。

後は、全チーム総当たりの長い戦いであることを考えると、後半から出てくる堀江選手なんてパワーが有り余っているのが見えるわけです。そこが、トヨタやクボタに圧勝できている要因じゃないかと思います。

パナソニックと神戸製鋼の選手層の厚さは、リザーブの選手が他のチームに行ったとしたら、ほぼ全員レギュラーになれるんじゃないかというぐらいの実力でで、他のチームからしてみたら羨ましくて仕方ないことでしょう。

今回のトップリーグが総当たりの長丁場であることを考えると、この選手層の厚さが敵のチームにはボディーブローのように効いてくることでしょう。

パナソニックは若手も元気!

竹山晃暉(14番WTB)選手は、トヨタ戦ではプレースキックが安定していなかったんですが、23年W杯のフェラーリ候補じゃないですが、日本代表のWTBになれる実力で、その姿は堂々としていて怯まないですし、

若手じゃないんですが、サム・ホワイトロック(LO・NZ)が新加入として入ってますし、

森谷圭介選手(FB/CTB)とポジションを争っていた野口竜司選手(15番FB・東海大出身)が、森谷選手がサンウルブズに選出されたことで、スタメンが定着となったんですが、絶好調の活躍を見せています。

野口竜司選手はキックからステップから絶好調で、日本代表への期待も募ります。

日本の選手も海外選手も優秀な選手が多く隙が無いような状態と言えます。

ただ、しいて言えば、福岡堅樹選手が(WTB)セブンズへ行ってしまうというのがあります。

トップリーグで試合に出れる選手は皆、優れているものの、その中でもトップの選手というのがいるわけです。

福岡堅樹選手は、WTBでも別格で、福岡選手の代わりは早々、いないわけで、そんな選手がいなくなることは戦力ダウンなのは明らかなので、その影響がどうなるのかが見ものかと思います。

昨年優勝の覇者、神戸製鋼

神戸製鋼は、第1節のキヤノン戦で50-16と大勝。

接戦になると言われた第2節のヤマハ戦では接戦の末36-24で勝利。ヤマハのクワッガ・スミス選手(7番FL)が大活躍だった試合です。

ヤマハは今季、トップリーグ1のスクラムの強さと言われていますが、神戸製鋼もしっかりイーブンの強さを見せ、こちらも隙が無い、といった状態です。

昨季に優勝した自信から来る強さというものも半端無いです。

パナソニックと同じく選手層が厚く、神戸製鋼は特に前3のやり方がオシャレだな~と思います。

というのも、みなさんご存じの中島イシレリ選手(PR)はリザーブで後半から登場するんです。

スターティングメンバーで言えば、1番PR 平島久照選手(37歳)、2番HO 平原大敬(33歳)、3番PR 山下裕史(34歳)と、なんと3人とも30歳オーバーなんです。

これは他の動画で言ったと思うんですが、PRやHOのポジションって辛いよというのをお伝えしてるんですが、前3って、年が行けば行くほどいぶし銀になっていくんです。

職人気質のところがあって、年を重ねれば重ねるほど技術がついてくるポジションらしく、ウィングやフルバックよりも選手年齢が長い、ということがあります。

神戸製鋼の最初の前3はベテランを出し、疲れた後半に、リザーブで元気なイシレリ選手が投入されるといった具合で、そういったところに選手層の厚さを感じるわけです。

前3の選手層の厚さと言うと、ワールドカップの南アフリカのような戦い方ができるわけです。

ワールドカップの南アフリカは、先発、リザーブのどっちの実力が上、下、関係なく、6人の優秀な前3がいて、前後半に分かれて出てくるわけです。

同様のことをやっている神戸製鋼は強いわけです。

そして、10番SOの ダン・カーターと、5番LOのブロディ・レタリックは別格ですねー。

敵チームも特にヤマハ戦では、ダン・カーターを狙いうちしていましたが、それでも活躍するのは凄いですし、レタリック(204㎝121㎏)の走る量と強さが、今年の神戸製鋼をさらに強くしている気がします。

トム・フランクリン選手は、身長が2mあるんですが、レタリックが来る前はLOだったのが、今年は、FLに下がったといった具合です。

今年は2mを超える選手が3人揃うというパワーを代表するチームな上に、ダン・カーターを中心とするバックスの上手さもあり、隙が無い状態です。

リチャード・バックマンやラファエレティモシーらセンター陣の上手さだけでなく、ウィングには強いアタアタ・モエアキオラがいるといった具合で、こんな神戸製鋼に勝てるチームがいるんだろうか、と思うほどです。

神戸製鋼とパナソニックの共通点とは

この2つのチームの共通点は何かと考えた時に出た答えが「 ポゼッション率が高い」とぃうこと。

つまり、ダン・カーターの素晴らしいキックがあるんだけど、簡単に蹴らないんです。

まるで去年までのサントリーを見ているかのようです。サントリーは今年は例年以上にキックを蹴っているのと逆に、神戸製鋼とパナソニックの2チームはポゼッション率が高く、早く言えば、簡単に蹴らない。

そんなチームの方が強いわけなんですが、そんな試合って疲れるじゃないですか。

だけど、この2チームはそれができるんです。なぜなら、そう、選手層が厚いからです。

このラグビースタイルで言えば、疲れも他のチームより少ないながらも高いパフォーマンスで長く活躍するチームなんじゃないか、だから強いんじゃないかと思いました。

神戸製鋼は、トップリーグ1「個」で打開できる選手が多いチームという印象です。

もちろんパナソニックもそうなんですが、パナソニックで言えば、福岡堅樹のような選手が、神戸製鋼は多いんじゃないかと。

言い方を変えると、困った時に「個」で打開しがちなチームは、ちょっと劣勢になるとチームのまとまりが無くなるという表裏一体の部分もあります。

僕的に言うと、チームとしてのまとまりはパナソニックの方があって、神戸製鋼は困った時には、やっぱり誰かが打開するチームで、そうなると、「イエローカード」が怖いチーム、イエローカードには要注意ということになります。

これを書いたもう一つの理由は、皆、血の気が凄くて、いつ乱闘が起こってもおかしくないような選手が多いんです。そこが、「イエローカード」が出なきゃいいなーって思うところです。

4月11日全勝対決なるか?

この2つのチームの実力が、他のチームと比べて抜きんでているということは、4月11日の直接対決まで、下手すれば全勝の流れになるんじゃないかと考えてしまいました。そのぐらいこの2強は突出しています。

とすると、神戸製鋼は、全勝対決まで山が3つあるかなと。

神戸製鋼の次節からの山を考えると、

・サントリー戦(1/26)35-29 神戸製鋼勝利
・東芝戦(2/23)
・クボタ戦(3/14)

そして、パナソニックは山が1つで、

・東芝戦(2/15)

4月11日の神戸製鋼戦後に、

・サントリー戦(4/18)
・ヤマハ戦(4/25)

が控えています。

これらのチームが、パナソニックや神戸製鋼に勝利すれば、また戦局が変わって楽しめるのではないかと思います。

今季は下位チームががんばって上位チームに食い込みを見せていて、ファンとしては混戦が見たいわけなんですが、第2節までを見てくると、パナソニックと神戸製鋼の2強時代がきちゃうんじゃないかと言うぐらいの強さを感じたので今日のトピックスとして選ばさせてもらいました。

トップリーグは、ほんと楽しいですよ。毎週・毎週、好カードが眠りまくっているんで、ぜひ、皆様も好きなチームだったり会場に足を運んで見て頂ければと思います。

それでは!「レッツラグビー!!」