またまた一気読みしてしまいました。
完全に池井戸潤さんのコアファンである僕は
「どうせ、途中で読むの止められる訳がない」
と分かっていたので、まとめて読める時間が取れるまで、買ってから1週間程寝かせておりました。
(この1週間、気になって気になってしようがなかったw)
なので昨日家族と夕飯を食べ、ある程度娘も落ち着いた22時くらいから読書開始。
相変わらず引き込まれる文体、シチュエーション、、
すぐに世界にのめり込み、妻が寝たタイミングにも気付かないほど。
今回の出版戦略も、前回の下町ロケットと同様、背景はかなり商業的なものがあります。
・テーマはそろそろ日本で開催されるW杯にちなんだ「ラグビー」
・6月に書籍発売、7月~例の下町ロケット、陸王と同じ時間枠の日曜日21時~ドラマ放送開始
・この枠に欠かせないキャストTEAM NACKSで唯一出演してないが一番人気の大泉洋を満を持して主演抜擢
下町ロケットでも行われた手法ではあり、人によっては打算的という方もおりますが、個人的にはこの作戦は大好きです。
タッチポイントを同時期に単純に増やし相乗効果を狙う作戦は、マーケティング戦略・話題作りとして1つの確立した手法であると考えるからです。
読み終わったのが確か2時過ぎ 3時近くか?
下町ロケット・陸王と同じように気付いたら、酎ハイ片手に号泣している40歳を超えたオジさんが一人満足している画がそこにありました。
・・・もういい加減、この画も神様は見飽きたでしょうw
結論ですが、池井戸さんファンは必ず読んで欲しいです。
池井戸さんの作品の特徴である
■ すべてのビジネスマンを応援する内容
■ 「人間ドラマ」にフォーカスしたSTORYづくり
■ 立場や地位を超えた「信念」の大事さを伝えるメッセージ性
は、どれも健在で他の作品と遜色ないモノに仕上がっております。
「ラグビー」
というテーマが色んな意味でアクが強いですが、ラグビーに興味がない人も普通に楽しめる作品であります。
そして、、
ラグビー関係のビジネスをされている方は
「必ず」
読むべき作品です。
特に、
・日本ラグビー協会の悪しき体制
から来るラグビーが日本で人気が出ない理由。
そして、
・スポンサーの葛藤、苦悩
今の日本ラグビー業界の問題を赤裸々に語っております。
そこが陸王との違いかな……
陸上業界よりもラグビー業界の方が色々問題を抱えているのは事実ですので。
ぶっちゃけ
「ここまで書いていいの?」
と、ラグビーを10年以上やって来た僕が驚くくらい。
また、これにも驚いた。
冒頭で、
「All for One , One for All」
=皆んなは1人の為に、1人は皆んなの為に
とか、
「ノーサイド」
=試合が終わったら敵味方もなくなる
この誰もが知っているラグビーの名言・精神をバッサリ否定したところから始まる。
さすがに痺れた……
※本文一部抜粋
「(略)
英語圏のラグビー用語としては
見つからなかった。
『ワンフォーオール、オールフォーワン』
もだ 」
どちらも、ラグビー精神を礼賛する言葉として多用されるものだ。
「結局、ふたつともいわば
『和製ラグビー英語』なんだな。
だけど、それがしっくりくるのは、
日本人なら誰でも知っている
武士道の精神や潔さといった
美意識との相性がいいからじゃないか」
(略)
調べた理由は、社長の島本から散々ラグビーのもつ高貴なスポーツ性を説かれたからだ。
(略)
「だからラグビーは素晴らしいんだ」という言葉は、みんな嘘っぱちだ。
人の好い日本人だけが信じている迷信である。
(略)
「高貴だから赤字でもいいってことにはならないんだよ」
ラグビーファンは年寄りの堅物が多いw
僕がサラリーマン時代だった時に、意外な偉い人がラグビーファンだったことが多く、営業職としては何かと有利なことは多かったが……
多分、そういう偉くて堅物なラグビーファンは、上記のような内容を読んだら激怒する。
だけど、実際は池井戸さんが書くのが事実だ。
「ラグビーは神聖なるスポーツ」
という訳の分からない理論=ラグビーだけが特別だという自負を持っている関係者はクッソ多い。
(だから団結力も生まれるという事象も起きるのだが)
そしてラグビー関係者は野球・サッカーといった他のスポーツををバカにするところもある。
そういう思想が長くラグビー業界に蔓延してたので、人気も実力も伸び悩む時期が長く続いたんだと思う。
バスケットボールなんてプロリーグが出来てまだ数年。
全然ラグビーの方がプロ化は早かったのに、今じゃ、人気も興行収益もバスケの足元にも及ばない……
それはスポーツの特性じゃなく運営サイドの経営戦略の問題だ……と、
今回の作品で池井戸さんらしく描いているところには脱帽させられた。
ただのラグビー小説じゃなく、しっかりとビジネス小説に落とし込んでおります。
なのでラグビー偏見がある方も気にせずに楽しんで欲しいです。
何かと今のラグビー業界に苦言を呈する表現が多かったが、読み終わった時に僕は単純にこう思った。
「池井戸さんは今回の取材を通じて
きっとラグビーを好きになってくれた」
と。
好きじゃなきゃ、あんな文章書けない。
好きじゃなきゃ、あんなにファンに伝わる文章は書けない。
池井戸さんは5年前くらいに、社会人ラグビー関係者に、チーム再建の話を聞く機会があったそうです。
そこで語っている人たちが、マジで熱かったらしく……
「これは小説になるな」
と思い、すぐに取り掛かったそうです。
そこからたくさんの試合を観戦し、会場にも足を運んだり
さすがそこは小説家。
取材に対する姿勢が素晴らしい。
インタビューでもこう語っております。
「一生分の試合は見たかも。
トップリーグの現場も行った。
ファンは寒い中でも2試合続けて見ていて、
本当に好きなんだなと思った。」
ただ、ご存知陸上に比べてら圧倒的にルールが難しいラグビー。
普通の取材よりは大変で、なかなか苦戦された模様。
一度、600Pくらい書き上げたものを完全にボツにしたそうです。
こういうプロ意識の塊の話は大好きだ 笑
――これまで陸上や野球を題材にした小説を書いて来られてますが、ラグビーならではの面白さ、苦労は。
「陸王」の走るシーンは思った通りに書けた。
でも今回は一度、600ページくらい書いたけど本物感が出なくて全部、ボツにした。
何がダメかを考え、ノーサイドの精神とかを美化していたと気づいた。
だから建前を取っ払って本音しか書かないようにした。
また、経営的な観点を入れた方が自分らしいと。
――600ページをボツに。
生煮えなら捨てた方がマシ
つまらない生煮えのものを出すくらいなら捨てた方がマシ。
作家に必要な力は三つある。
・いいなと思ったものを書く力。
・自分の小説を客観的に評価する力。
・そしてもう一つが直す力。
今はゲームからハリウッド映画まですべてのエンターテインメントがライバルの時代です。
徹底的に細部まで直して、自分のベストを出して勝負するしかない。
――スポーツを描くことの難しさは感じるか。
スポーツは映像で見るのが一番面白いと思う。
「野球小説は売れない」というジンクスがあり、ラグビーなら惨敗の可能性もある。
でも、今年は日本でW杯があるし、この作品はラグビーの殻をかぶったエンタメ小説。
ラグビーが分からなくても読める。
僕の小説を動かすエンジンは、人間ドラマなので。
ぶっちゃけマジで嬉しいです。
あの大好きな池井戸さんが僕が青春時代にすべてを捧げた
「ラグビー」
に対してここまで調べ尽くし、ここまで素敵な小説に仕上げてくれたことが。
今回の小説の主役は、ラグビー未経験者が弱体化、経営悪化するラグビー部を再建する話です。
それと同じで、ある意味ラグビー未経験者の池井戸さんだからこそ
・現状の日本ラグビー業界の課題
・日本企業が抱えるスポンサードの課題
・ラグビー協会の課題
たくさんの課題を抱えているが、それでもラグビーというのは素晴らしいスポーツであるというメッセージが響く。
ラグビーの素晴らしさを全身全霊かけて表現してくれたと感動すら覚えました。
ぜひ、この作品を通じて池井戸さんはもちろん、ラグビーのことをもっと好きなってくれる人が増えて欲しい、、
そう思い今日は僕なりにメルマガを書きました。
テレビ放送も楽しみにしております。
(写真:テレビ朝日ノーサイド・ゲームホームページより)
最後に繰り返しなりますが
池井戸さん、、、
僕の大好きなラグビー、、
だけどイマイチ人気が出ないラグビーをテーマに、ここまで素晴らしく描いてくれてありがとうございました。
引き続き、素敵な作品をお願いします。
これからも応援し続けます。
PS
想いが強くなりラグビーの話ばかりでしたが、今回の作品も当然、「経済小説」の部類に入ります。
Amazonレビューでもそこは伺えるはず。
池井戸さんの作品はいつも「こんなにうまくいくわけがない」と思うところもありますが、読後スッキリ、私も今の仕事を顧客のために頑張ろう!!と思わせてくれるので、非常にスキでございます。
PPS
読み終わった後、気になったのですぐにTBSのドラマのページもチェックしたら、、
なんと昔の知り合いや後輩がたくさん出演する。
多分彼らは俳優活動はしていないはず。
きっとTBS福澤プロデューサー(慶應ラグビー部OB)が、ラグビーシーンに拘って企画したことが予想される。
主役級の人も学生時代にラグビーをやってた人とかをキャスティングしている。
これまた楽しみだぜいー
あの仲よかった後輩、、セリフとかあるのかな?w
PPPS
1つだけ不満があるとすれば・・・
今回の主役は
「君嶋」
という名前だった……
この漢字で知り合いはあの君嶋しかいない。
ぶっちゃけ、君嶋はラグビーと180度真逆にいる奴だw
定期的にあのアホヅラを思い出したのが悔やまれる。。。
・・・すいません。。池井戸さんは何も悪くありません。
悪いのは全部あの「君嶋」です
ではではwww